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遺言の勧め

 

遺言の勧め その1

 

「遺言」というと資産家だけのものというイメージがありますが、決してそうではありません。亡くなった方の最終意思を明確にして遺族間のトラブルを未然に防ぐためにとても有用なものです。相続に関する専門書には「遺言書には何を書いても良いわけではありません。記載できる事項は法律で決められているからです。」とよく述べられていますが、実際には公序良俗に反しないことであれば何でも書くことが出来ます。ただ、法律的に有効となる事柄については制限があるということだけなのです。ですから「これからも兄弟仲よくやっていくように」とか「末男、お前は小さいとき長男の一郎の世話になったのだから遺留分を主張することのないよう、この遺言のとおり仲良く遺産分けをしなさい」など、遺言者の心情を吐露する文言を含めることもできます。これらの言葉は文末に付記する形が望ましいでしょう。(付言事項)実は、遺言があっても相続人の間で、遺言とは異なる分割をすることについては全員の同意があればそのようにすることが出来ます。であればなおさら、「法律」という冷たい道具を運用するのは温かな血の通った人の「心」であることを考えると、ここに人情論を持ち出すのもあながち間違いではないでしょう。いずれにしても、遺産分割について話し合う際に被相続人がどのような考えを持っていたのか、分かるのとそうでないのとでは、遺産分割協議の進み方が全く異なります。

 

遺言の勧め その2

 

 遺言書を作る人が増えています。公正証書遺言について,この15年間で1.5倍に増えているとの報告があります。その原因として,家庭裁判所における遺産分割調停・審判の件数の増加,つまり相続トラブルの増加に伴う権利意識の高まりが指摘されます。遺産相続の争いを経験した人が,自分の相続の時には家族がそんな目にあって欲しくないと考え,遺言書を作るケースが増えてきているようです。

 財産が少ないから遺言は必要ないと考える人もいるかもしれません。しかし,本当に財産が少ないのかどうかは相続人にとって分かりにくいものです。さらに生前贈与があったりすると,互いに疑心暗鬼になり,人間関係がこじれないともかぎりません。また,通常交通事故にあった場合などの補償金や損害賠償請求権は相続人に発生しますが,これは相当な金額になるはずです。遺言書を作成する事を考慮されてはいかがでしょうか。

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